クラウド運用サービスでは、クラウド上のシステムの監視や障害対応だけでなく、セキュリティ運用やコスト管理まで外部に任せられる場合があります。必要な業務範囲を整理したうえでサービスを選ぶことが重要です。
クラウド運用サービスとは、クラウド上に構築したシステムを安定稼働させるための運用業務を、外部の専門事業者に委託するサービスです。
システムやリソースの監視、障害時の一次対応、セキュリティ運用、アクセス管理、クラウドコストの管理などが対象になります。対応範囲は事業者によって異なるため、自社に必要な業務を整理してから選定しましょう。
なお、クラウドへの移行そのものを検討している場合は、移行そのものの流れはこちらをご覧ください。
対応範囲は事業者によって異なりますが、主に4領域に分けられます。
サーバーやクラウドリソースの稼働状況を監視し、CPU・メモリ・ディスク使用量、プロセス、ログなどを確認します。死活監視や異常検知時のアラート通知も対象になります。
障害発生時のアラート確認、原因の切り分け、エスカレーション、再起動などの一次対応を任せられます。サービスによっては原因調査や復旧、改善提案まで対応します。
セキュリティ設定やアクセス権限の管理、脆弱性への対応、セキュリティパッチの適用などを支援します。不要なアクセス権限を残さないことも重要です。
利用量に応じて料金が変動するため、リソースの使用状況や不要なリソース、過剰なスペックを確認します。利用状況を踏まえて構成を見直すことで、コスト抑制につながります。
クラウド監視とオンプレミス監視では、監視対象や運用上の考え方に違いがあります。特に物理インフラの管理、監視対象、コスト管理の3点がポイントです。
| 項目 | クラウド | オンプレミス |
|---|---|---|
| 物理機器の管理 | クラウド事業者が担当する範囲がある | 自社で管理する |
| 主な監視対象 | クラウド上のリソース・各種サービス | サーバー・ネットワーク機器など |
| コスト管理 | 利用状況の監視が重要 | 利用量との連動はクラウドほど直接的ではない |
なお、サーバー監視そのものの基本については、監視の基礎はこちらをご覧ください。
クラウド運用を自社だけで担う場合、主に3つの課題があります。
クラウド運用サービスを利用すると、専門知識を持つ運用体制を自社で構築する負担を抑え、必要な体制を短期間で確保しやすくなります。24時間365日の監視・障害対応に対応するサービスを選べば、夜間や休日の対応体制も整えやすくなります。
また、運用業務を外部に任せることで、社内エンジニアが開発や企画などのコア業務に時間を充てやすくなり、業務効率化も期待できます。
契約範囲を超える障害調査や設定変更などを依頼する場合、別途費用が発生することがあります。契約前に標準対応とオプション対応の範囲を確認しましょう。
運用を外部に任せることで、社内担当者が実際の運用を経験する機会が減る可能性があります。対応履歴や運用手順を共有してもらい、必要なノウハウを社内にも残すことが重要です。
導入前の課題:ビタブリッド ジャパンでは、24時間365日の監視・トラブル対応を求めていた一方、死活監視のアラートに気づかないことや、アクセス集中時のサイトダウン、社内エンジニア不足などが課題でした。
導入後の効果:導入後は、死活監視のアラート受信から約5分で一次対応を開始し、多くの場合10~15分ほどで対応が完了する体制になりました。休日のアラート対応による負担軽減にもつながっています。
導入前の課題:日本ビジネスシステムズでは、少数精鋭の人員配置のなか、上流業務に人員が割かれ、アプリケーションの運用・保守への対応が課題となっていました。
導入後の効果:TOPPANシステムインテグレーションがMicrosoft 365の運用・保守や問い合わせ対応を支援し、人員配置を検討しやすくなりました。新しい領域への活動や、設定変更のコマンド化などの運用改善にも取り組んでいます。
導入前の課題:富士通マーケティングでは、顧客から「運用監視のノウハウがない」「コストを削減したい」「手間を省きたい」といった相談が多く、保守・運用要員の確保も課題でした。
導入後の効果:アイティーエムと協業して運用・監視サービスを提供した結果、均一かつ高品質なサービスとして評価され、顧客との信頼関係の強化につながっています。AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformやハイブリッド環境にも対応しています。
料金体系は事業者や対応範囲によって異なります。代表的なのが、監視対象数に応じた「監視対象数課金」、対応件数に応じた「対応件数課金」、エンジニアの稼働時間を基準とする「エンジニア稼働時間課金」です。
基本料金に含まれる業務と追加料金が発生するオプションの範囲も確認しましょう。具体的な費用相場については、インフラ保守の費用相場をご覧ください。
料金だけでなく、自社のクラウド環境と必要な運用範囲に対応できるかを確認しましょう。主な選定ポイントは以下の5つです。
| 選定ポイント | 確認する内容 |
|---|---|
| 対応可能なクラウド | AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなどに対応しているか |
| マルチクラウド対応 | 複数のクラウドを横断して監視・運用できるか |
| オンプレミスとの混在 | クラウドとオンプレミスの混在環境に対応できるか |
| 対応時間 | 24時間365日の監視・障害対応が必要か |
| 課金単位 | 監視対象数、対応件数、稼働時間など、料金の単位は何か |
クラウド運用サービスを選ぶ際は、使っているクラウドの構成、オンプレミスとの混在の有無、求める対応範囲の3点から要件を整理することが重要です。自社の運用体制に合ったサービスを比較し、必要な業務を任せられるサービスを選びましょう。
当メディアでは、IT運用体制から選べるMSPサービスを紹介しています。保守契約の見直しを検討している方は参考にしてください。
※1 金融機関などで求められる、厳格なセキュリティ基準のこと。参照元:TOPPANエッジITソリューション公式HP(https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2024/02/newsrelease240220_1.html)
※2 クラウドサービス向けの国際的なセキュリティ認証のこと。参照元:TOPPANエッジITソリューション公式HP(https://www.tsi.toppan.com/service/reason/center/index.html)